2026年2月12日、香港国際仲裁センター(HKIAC)は2025年の年次統計を公表し、仲裁388件、調停9件、ドメイン名紛争185件を含む、過去最高となる582件の新規事件を報告しました。仲裁申立て388件は、同じく過去最高だった2024年の352件から10%増となります。

数字で見る概要

指標2025年背景
新規事件総数582件仲裁388件 + 調停9件 + ドメイン名紛争185件
仲裁申立て388件前年比+10%(2024年は352件)
総紛争額(全仲裁)1,262億香港ドル(約162億米ドル)2024年の1,060億香港ドルから+19%
総紛争額(管理仲裁)1,177億香港ドル(約151億米ドル)管理仲裁1件あたり平均3億7,500万香港ドル
当事者の法域数61前回報告の45から増加
仲裁の基礎となった契約数578件1事件に複数契約が関係する事案が増加
HKIACによる仲裁人選任199件これに加え、指定仲裁人220名を確認
併合申請14件12件認容、2件却下
参加申請13件9件認容、3件却下、1件係属中

国際性

HKIACの国際的な性格は引き続き強固でした。

  • 全仲裁の**84.3%**が国際仲裁(少なくとも一方当事者が香港外)
  • 管理仲裁の**92.9%**が国際仲裁
  • 仲裁の**45.4%**は香港当事者をまったく含まない事案
  • **58.2%**は中国本土当事者を含まない事案
  • **13.7%**はアジア当事者を含まない事案
  • 全仲裁の**96.6%**の仲裁地は香港

当事者の主要な所在地には、香港、中国本土、英領バージン諸島、ケイマン諸島、シンガポール、米国、UAE、インドネシア、ブラジル、ロシア、スイス、英国が含まれます。

中国本土における保全措置

香港・中国本土間の仲裁保全措置に関する取決め(保全安排)に基づき、HKIACは2025年に中国本土の13の裁判所に対する34件の申立てを処理しました。これらの申立ては、総額109億人民元(約16億米ドル)相当の資産および証拠の保全を求めるものでした。

中国本土の裁判所は2025年に17件の命令を発し、約50億人民元(約7億1,980万米ドル)相当の資産を保全しました。

この取決めが2019年10月1日に発効して以降、HKIACは合計178件の申立てを取り扱っています。中国本土の裁判所は133件の決定を発し、約46億米ドル相当の資産を保全しました。

外国企業にとっての意味

アジア太平洋地域の紛争について仲裁地を比較検討している場合、HKIACは、香港が同地域を代表する国際仲裁地であることを裏付けるデータを引き続き示しています。

2025年の数字から読み取れる点は次のとおりです。

  • 事件数の増加は実質的かつ持続的です。 2023年、2024年、2025年と3年連続で過去最高を記録しており、一時的な急増ではなく、構造的な需要を反映しています。仲裁申立てが前年比10%増加する一方、総紛争額は19%増加しており、HKIACが単に件数を増やしているだけでなく、より高額な事件を引き付けていることを示しています。

  • 中国本土との保全措置の取決めは機能しています。 1年で34件の申立てがあり、その結果17件の命令により約7億2,000万米ドルが保全されたことは、越境保全の仕組みが実務上機能し、実際に利用されていることを確認するものです。2019年以降、このルートを通じて46億米ドルの資産が保全されています。中国本土に資産を有する企業にとって、香港を仲裁地とする最も強い根拠となります。

  • HKIACは香港限定の機関ではありません。 事件の58.2%が中国本土当事者を含まず、13.7%はアジア当事者をまったく含まないことから、HKIACは真にグローバルな利用者層にサービスを提供しています。BVI、ケイマン諸島、UAE、ブラジルなどの主要法域は、オフショア企業、エネルギー、インフラ紛争におけるHKIACの役割を反映しています。

  • 複数契約・複数当事者紛争は標準的になっています。 388件の仲裁のうち185件が複数当事者または複数契約に関係していました。HKIACの併合および参加の仕組みは27回利用され、認容率は合計で約78%でした。関連紛争をまとめて審理する必要がある複雑なクロスボーダー取引では重要な点です。

要点: HKIACの2025年統計は、香港が国際仲裁を利用できるだけでなく、実際に成長している仲裁地であることを改めて示しています。特に保全措置のデータは、香港仲裁判断が中国本土の資産を保護できるのかという長年の問いに答えるものです。2019年以降に保全された46億米ドルの資産が示す答えは、ますます明確になっています。

香港を仲裁地とする仲裁の費用を見積もる場合、HKIAC費用計算ツールで2026年料金表に基づく機関費用および仲裁廷費用を試算できます。